建築家の夢(アール・ヌーヴォの旅)
■ 卒業研究の目的
ガウディの作品に会いに行くのが目的でも、「アール・ヌーヴォの建築デザインに関する研究」と題したからには、アール・ヌーヴォの建築作品を見ることも目的でした。そこで、パリでエクトル・ギマールのカステル・ベランジェの門(アール・ヌーヴォ史上最も有名)や3種類のメトロ入口、ブリュッセルでヴィクトール・オルタのタッセル邸(アール・ヌーヴォ最初の建築)やオルタ自邸(現美術館)、ウイーンでオットー・ワグナーのシュタインホフの礼拝堂やマジョリカハウス等を巡る、行き当たりばったりの旅を敢行しました。アール・ヌーヴォは、19世紀末のきわめて短期間に起こった造形芸術で、後のモダニズムの時代には「悪趣味」と呼ばれ攻撃の対象となってしまいましたが、次代を過ぎて再評価されました。このような評価の動きは、近代の抽象的で幾何学な造形と異なり、個性的で多様な変化と幻想的魅力があったからだと推測されています。アール・ヌーヴォを研究対象にしたのは、この世紀末芸術の内面をえぐり出すことにより、芸術の本来あるべき姿、美、しいては建築の本質を探り出すことができるのではないかという観点からでした。その頂点に立つのが「ガウディ」だと思ったのです。
つづく


