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注文住宅作品08番


屋上庭園とパティオ(中庭)のある家(環境共生住宅)


 「中澤さん、私は一日に3回庭を散歩するんですよ」施主のこのひと言から、設計は始まった。手塩にかけた庭の花々を眺めるのが、毎日の楽しみで、外を通る人も楽しませる景観としたいと言うのが、ご主人の希望であった。朝起きて水をやり、仕事から帰って庭を散歩し、夜また庭に出る。 この話しを聞いただけで、よほど庭が好きなんだと、「他には楽しみないの?」なんて思わず言い出しそうになるのを我慢し、これは“いいヒント”だと思った。 敷地は130坪だから決して大きな庭という事でもない。どうやって庭を楽しませ、飽きないように変化をつけるかという事に思いをはせた。

■ コンセプト(壁の建築)

 
施主は道行く人にも楽しんでもらいたいから、塀を作らないという。もちろん家の中からも庭の木々を眺めたいだろう。どちらからも見える庭では、視線がまじわってしまう。内と外での視線が交わらない様にすることが、最大の問題だと直感した。 その解答として道からは壁の連続で面となり、家の中への視線をさえぎり、家の各部屋からは壁が線となり、庭に向かって大開放する壁の建築であった。 幸い、施主はRC造を希望していたので、壁構造で、極端にXY方向の壁量を変えることが可能だった。 こうして、道からは壁が連続したたたずまいで、家の中への視線をさえぎることに成功した。


■ 風の通り道(床下自然通風システム)


 敷地には、南北に1mの高低差があった。おばあさんいわく「この場所は地上1mにいい風が吹いている。」という事で基礎を1mあげる高床式になった。 RC壁構造だったので、床をコンクリートスラブで持たせ、土を埋めないで床下を空けた(別荘地の基礎みたいなもの)。これにはわけがあり、床スラブ下(昔で言う縁の下)に風を通して、 中庭(パティオ)に吹き込ませたかった。中庭は、地面から1m高い室内床にあわせてグレーチングの床を設置。真ん中にはもみじの木を植え、グレーチングの床下から 縁の下を通った風が吹いてくる仕掛けだった。建物の外部の窓をすべて閉じても、中庭(パティオ)に面した窓だけを開ければ、夏でもひんやりした風が吹いてくる。防犯上、夜窓を開けられない家が多いが、この方法なら侵入経路がないので安心である。

■ 環境共生住宅


 床下から吹き込む自然通風は、まさしく自然力を取り込んだシステム。他にも平屋部分のRC屋根は、芝生の屋上庭園となっている。階下の断熱の効果もさることながら、夏に芝生に寝転がってビール飲んだら、うまいだろうなあ。屋上庭園の入口は洗濯干しのサンルームとなっていて、雨の日でも風の強い日でも乾燥機を使わずに洗濯が干せる。2階屋根には太陽熱温水器が設置してあり、一度タンクにためてから各給湯に流れる。また蓄熱式温水床暖房を1階、2階あわせて約45坪(90畳分)設置し、省エネと快適な暮らしを保証する。風と戯れ、花と愛しむ、どこにいても自然を感じる、四季折々の風景を楽しめる環境共生住宅になったと思う。

DATA カタログ

 S邸 静岡・富士市

竣工 2002年2月

構造/RC造+木造在来工法 2階建

家族構成/夫婦+子供3人+母

敷地面積/443.53u(134.17坪)

延床面積/264.02u(79.87坪)
   1階/145.10u(43.89坪)
   2階/ 80.65u(24.40坪)
   車庫/ 38.27u(11.58坪)

用途地域/第1種住居地域
建ぺい率/60%
 容積率/200%

工事施工/小林幸彦建築
コンクリート躯体/仁藤組
床暖房工事/協和熱学工業
ステンレス工事/飯田板金工業








07 風の通る小さな家
 

 

  
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