国立の家/狭小3階建てロフト付4層構造の家

  • 所 在 地 :東京都国立市
  • 竣  工:2011年11月
  • 構  造:木造SE構法 地上3階建て+ロフト
  • 延床面積:92.00㎡ (27.83坪)車庫・ロフト含まず
  • 敷地面積:66.28㎡ (20.05坪)
  • 備  考:準耐火建築物 耐震等級3 フラット35s 蓄熱式温水床暖房

 

二転三転の土地探し

施主は私に初めて仕事(花屋の内装設計)を依頼してくれたクライアントで、その後十数年来の友人である。施主のY氏はずっと私の設計の家に住むことが夢だったという。建築家冥利に尽きるのだが、ここまで来る過程は紆余曲折、結構しんどい道だった。当初は高円寺の16坪の敷地に建つ中古住宅を購入して住んでいて、そこを賃貸&自邸の建替え案で進めた。しかしいろんな条件が厳しく断念。高円寺を売却するつもりで土地探しを始めたが、なかなか希望に合う土地は見つからない。9坪の土地も検討した。

家づくりを始めて3年が過ぎたある日、国立市に条件の良い土地が見つかった。Y氏は国立に縁があり、土地勘もあったのでかなりその気になった。敷地は前面道路が広く、細長い20坪の土地だった。光があたる気持ちの良い敷地で、私自身も気に入った。もっと狭い敷地で計画を練ってきた私は広いね、十分に満足のいく建物が出来るよ答えた。

敷地二十坪の狭小住宅

土地を購入する事になり、ふたを開けてみると、土地決済の銀行ローンとフラット35の関係で、なんと1週間でプランと概算見積もりを作成しなければならない。最低1ヶ月は必要な内容である。しかしのんびりしていると他人に土地が渡ってしまう。綱渡りのような世界だったが、1週間後に銀行へプラン提出できた。その後にじっくりと計画を再検討したが、大きさとコンセプトは変わることなく進んだ。

それが可能だったのが、過去に何度も計画したおかげで、施主家族の希望する家のイメージが判っていたから。この場所ならどういう空間が欲しいのか、阿吽の呼吸で感じられたのだった。

狭小三階建てロフト付四層構造の家

前面道路は歩道を入れて16mある広い南面道路で、太陽光がたっぷり降注ぐ。ただし車の往来が多いので、あまりオープンだと視線が気になる敷地。そして狭小地で厄介なのが北側斜線です。第2種高度地区なので高さ5m以上から北面と東面が建物形状に影響する。視線と斜線の対応が設計のポイントになりました。

Ⅰ 視線の対応
2階をリビングダイニングとして道路側にバルコニーと高い塀を提案。周りからの視線を隠しつつ、十分に太陽が部屋の奥まで入る壁としてファサードを印象付ける。

Ⅱ 斜線の対応
1階の階高を通常より60cm低く設定。1階は土間床としてホビールームのような玄関を提案し天井高さを確保する。全体を下げることで、2階までは斜線の影響がない空間となる。3階以上は斜線ぎりぎりの屋根形状がそのまま空間として使える構成で、ロフト付4層構造の大胆な断面となる。

一見単純な平面構成に見えるが、壁が少なく屋根断面が特殊な為、構造は複雑である。それでもSE構法により、狭小3階建てでは難しい耐震等級3も取得する地震に強い家が出来上がった。

 

2020年10月08日