設計スタイル

設計方針

会社方針

 

建主の立場に立って住宅設計を主たる業務とする一級建築士事務所です。横浜と富士を拠点に地域に根ざした優良工務店と共に、施主のこだわり注文住宅を創りつづけています。

木造(在来)、SE構法、RC+木造の混構造等、敷地条件とコストに見合った工法を選択し、特に、蓄熱式温水床暖房での全館暖房によるヒートショックのない安心安全な「健やかで心地よい住まい」を数多く手がけています。

自然と調和した有機的建築を信条とし、光や風が感じられる、温かみのある空間創りを心がけています。そこで過ごす事で豊かな心が育つような住まいを願い、依頼者の大事な環境と夢を創るという責任を感じながら仕事にあたっています。

① 住み易さを第一に、それでいて個性のある住まい方の提案。
② 蓄熱式温水床暖房で家全体を暖め、快適空間と省エネを実現。
③ 造作家具や建具を統一感のあるデザインで製作。
④ テスリやヒサシ、表札にいたるまでオリジナルデザインの追求。
⑤ バランスのとれた予算配分。
⑥ 現場監理に重点を置き、職人とのコミュニケーションを大事にします。


建て主へのメッセージ

社長

住宅はなによりも住み心地が良くなければいけません。デザインとは、カッコ良さ(視覚的)のことではなく、「かゆいところに手が届く」使い勝手のいい家のことであり、「肌にあう」相性のいい家であり、「自然を感じる」気持ちのいい空間(感覚)を追求するものだと思っています。 限られた予算の中で、最大限の夢をかなえるため、大胆な発想と工夫を一緒に考えましょう。

家づくりは、人生設計を描く事でもあります。建て主の夢を実現しようとする強い意志が、もっとも大切です。そのお手伝いをさせて下さい。昨今はものづくりの精神が薄くなりました。建築家と組んで家づくりをすると、予想以上に大変な思いをします。家族間の価値観はぶつかり合い、けんかするほど夢中になるからです。でも心配しないでください、いつの間にか家づくりが趣味となり、苦労の先には、かけがえのない感動を得ることになるでしょう。 これこそが「プライスレス」だと思います。お金に換えられない価値を貴方の手でつかんでください。


住宅建築家とは

日本では建築家という呼び方に法律的な解釈はありません。一級建築士というように国家資格のお墨付きはないのです。逆に言うと、自称で誰でも名乗ることができます。だからこそ、社会に対する責任を感じ、信念を持った生き方ができなければ、建築家と呼ぶことに躊躇してしまうでしょう。住宅建築家も俗称です、個人の解釈となります。ここで私の考える住宅建築家とはなにかを伝えたいと思います。わかり易く言うと、住宅プロデューサーであると考えます。映画監督やオーケストラの指揮者のように、全体を見渡して進む方向性を示し、多くの人達の才能を引き出し、観客である施主の夢を描き実現することだと考えます。


● 顧客の獲得出会い(営業)
● ライフスタイルの相談(コンサルタント)
● 資金計画(プランナー)
● 設計提案(デザイナー)
● 図面作成、施工図作成(設計士)
● 見積もり交渉(積算)
● 工事監理(検査官)
● インテリアデザイン(コーディネーター)
● アフターケア(工務店との折衝)

のすべてをこなし、全体を把握できる人物でない務まりません。一人で何役もこなせる事を求められます。もちろんすべてのことに対して才能があるわけでないのですが、一定レベルの能力や経験がないと、偏った家づくりになってしまいます。こうした中の一部に更なる才能を示すことで、建築家の個性として発揮されるでしょう。

私の考える有機的建築

フランク・ロイド・ライトが自分の作品を「有機的建築」と定義づけ、自然と調和した形と精神を建築で示しました。「自然から学ぶ」ことで、自然と共存する建築が生まれました。フィンランドのアルヴァ・アアルトも有機的建築といわれています。この考えは、アントニオ・ガウディも同じです。

このように説明してみると、「自然との調和」なんだ日本の風土、木造建築のことじゃないのか?ともいえます。そうです、日本人は古来より自然を崇拝し、感謝を込めて「自然から学ぶ」生き方をしてきました。もともと日本人には、有機的建築を理解できる土壌があるのです。具体的にどうしたら有機的建築になるのでしょう。

原題では、「organic architecture」といいます。Organic(オーガニック)は辞書で調べると、有機体、有機的な、器官の、根本的なといった意味が書かれています。地球上にみられる植物や動物の形は、生物が種として生き延び繁栄するために、長い年月を経て進化してきました。現在見られる構造や仕組みは、今の環境にあった合理的なものです。(昨今の環境破壊がそれを壊しています)自然界の形状は、無駄のない単純な美しさがあります。生命の最も根本的な次世代につなげるための構造であり、機能とデザインの一致した美しさがあります。

このような自然界から学び、建物が全体と関連してデザインされ統一感をもっている物を有機的建築と考えています。建物全体が一つの生命体のように機能を持ち精神を持っています。しかし、有機的建築を信条としていると宣言しているものの、具体的な方法論には到達できません。 一生をかけて自身に問いかけるテーマであることは確かです。

環境に合わせた建築

具体的に建築における環境はどのようなものでしょうか。一番にあげられるのは敷地形状です。そして風の向き、光の方向でしょう。そして高低差や隣近所の建物の位置、街全体の印象、地域の風習などです。

こうした様々な環境がその敷地の周りに存在しています。そして住む人の性格や家族構成も立派な環境です。「機能とデザインの一致」とは気持ちのいい空間で使いやすい機能のことではないでしょうか。それに加え、これからの世界は地球環境にもやさしくないといけません。人も建築もかけがえのない地球の環境の中でこそ生きながらえるのです。

自然と触れ合う大切さ

フランク・ロイド・ライトの落水荘が評価されたのは、滝を眺めるのではなく、滝の上に建てた事です。また、滝の上に建てるため、大胆なキャンティーレバーの構造となったのです。リビングから水辺に降りるガラス張りの階段があり、流れる水と触れ合うことができるように設計されています。まさしく自然と一体となった建築という印象を与えました。

暖炉や波や清流を眺めていると、心が安らぎます。誰もが経験したことでしょう。それは絶えず変化する自然が飽きなくて、無の境地になるからじゃないでしょうか。火や水が、触れ合う距離にあることも重要です。波も遠くから見るのではなくて、波打ち際で波の音を聞くことで、気持ちが落ち着きます。

大木の木陰に寝転がると気持ちいいですよね。木陰では風も身近に感じる気がします。波や清流を家に持ち込めなくても、木の木陰を作ることは可能です。家に植栽を植えるときは、触れ合うことを大事にしましょう。

敷地の端に木を植えるのではなく、身近な中庭やテラスの中心に植えて、木漏れびや緑が風になびく音を楽しみましょう。自然を眺めるのではなく、触れ合う姿勢が有機的建築につながると思います。住む人も家も安らぎを求めています。

※1980年代の学生時代に訪問 撮影:中澤克秀